「赤とんぼ」と言えば、「夕焼け小焼けの…」という歌い出しの童謡が一般的によく知られているが、調べてみたところ、文部省唱歌版の「赤とんぼ」が存在する。いずれも懐かしさと季節感を存分に感じられる秀作だ。
童謡「赤とんぼ」
文部省唱歌「赤とんぼ」
秋の水、澄みきった
童謡「赤とんぼ」
作詞:三木露風
作詞:山田耕筰
夕焼小焼の、赤とんぼ
負われて見たのは、いつの日か
山の畑の、桑(くわ)の実を
小籠(こかご)に摘んだは、まぼろしか
十五で姐(ねえ)やは、嫁に行き
お里のたよりも、絶えはてた
夕焼小焼の、赤とんぼ
とまっているよ、竿(さお)の先
負われて見たのは、いつの日か
山の畑の、桑(くわ)の実を
小籠(こかご)に摘んだは、まぼろしか
十五で姐(ねえ)やは、嫁に行き
お里のたよりも、絶えはてた
夕焼小焼の、赤とんぼ
とまっているよ、竿(さお)の先
※大正10年(1921年)「童謡百曲集第二集」より
文部省唱歌「赤とんぼ」
秋の水、澄みきった
流(ながれ)の上を赤とんぼ、
何百何千、揃って上(かみ)へ、ただ上(かみ)へ、
上(のぼ)って行くよ、上って行くよ。
秋の空、金色の
夕日に浮かぶ赤とんぼ、
何百何千、並んで西へ、ただ西へ、
流れて行くよ、流れて行くよ。
※昭和7年(1932年)「新訂尋常小学唱歌(第三学年用)」より